“こんな鞄がほしい”という発想を形にするのは、工程の省略を許さない心意気があるから
〈エルゴポック〉の特長は「オールメイドインジャパン」。ひと口に「日本製」とはいっても、部品の一部などは海外のサプライヤーによるものを採用していることがほとんど。金具から染料に至るまですべての素材と工程を日本国内で完結させる、この才気溢れるレザーブランドは稀有な存在と言えるでしょう。
今回紹介する「ワンショルダーバッグ」はワキシングレザーを贅沢に使用しており、国産パーツと匠の手縫いによってボディバッグに仕立て上げられています。その設計は、身体に沿うフォルムだけでなく機能性にも配慮が行き届いています。荷物が下部にたまり、上部のスペースが空いてしまいがちなボディバッグの欠点を解消するべく、通常より高めに設けられた前ポケット。好みに合わせて左右どちらからでも背負えるよう、両側に配されたショルダーストラップの付け替えホルダーなど多彩な工夫が施されています。スポーティな印象のボディバッグも、上質レザーと美麗フォルムならカジュアルな着こなしに品格がプラスされます。身体に寄り添う使用感が心地よい才色兼備バッグで、肩肘張らない都会的なエレガンスを演出してはいかがでしょうか。

ワキシングレザーは、13工程を要します。コラーゲン繊維をほぐす「石灰漬け」や余分な脂肪を取り除く「裏打ち」などで、まず原皮を下ごしらえ。次に、皮に耐熱・耐久性を与える「クロム鞣し」と風合いを生む「再鞣し」を行います。この間に「品質検査」をし、等級の高い革のみを選別。その後8時間ほどかけて慎重に「染色」し、色を固着させるためゆっくりと「乾燥」。機械による「ワキシング」、熟練工の繊細な手仕事による「手塗り」のワキシングを2度繰り返し、つやを際立たせる「クリア塗装」、仕上げの「乾燥」によって芸術品と呼べるほど美麗な皮革が完成します。独特のムラ感と鮮やかな発色、使い込むほど増す味わいと深まるつやはこうしてもたらされるのです。